そちらさま・こちらさま

アクセスカウンタ

zoom RSS オジいサン

<<   作成日時 : 2011/04/28 15:54   >>

トラックバック 0 / コメント 6

画像
京極夏彦氏の『オジいサン』は益子徳一という72歳になる独居老人の一週間を描いた小説です。結婚歴もなく子も孫もいない彼が、慎ましい日常の中で体験したことが、そのまま小説になっています。人間は歳をとったからといって性格が変わるものではなく、その反面、肉体は衰えていきます。

徳一さんは生真面目で、「面倒くさいオジいサン」です。億劫と言いながら何事もないがしろにしない几帳面な性格なので、熟考に熟考を重ね、ついには何を考えていたか分か分からなくなってしまいます。思考はグルグルと同じ所を堂々巡りしているのですが、なんとか結論らしきものに辿り着くと自ら納得します。人って真面目なほど滑稽なものかもしれません。

徳一さんは朝目覚めると、床の中でどうでもいいことを延々と考え続けます。身体を起こすのを忘れてしまうほど思いを巡らすのですが、それもやはり彼が真面目に生きているからなのです。行動も思考も速度が遅く、全然関係ない方向へ拡散していくから一向に話が前に進みません。でも厭きることなく、孤独を感じることもなく、毎日を生きています。

何かをしている最中に別の何かが闖入すると以前の流れが何だったのか忘れてしまう。新しいものを拒否する気はないのですが、インターネットや地デジを教えてくれる人はいませんからわからない。でも駄目なところがたくさんあって、それが個性だとも思っています。それなのに、自分に対する他人の評価に驚くのでした。

徳一さんには老人としての特徴が十分ありますし、それを認識しています。でも自分はいつまでも若いのだと老いたことを認めようとしない人が多いように思います。老いはまず受け入れて、老人として楽しい暮らしができればいいですね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
NAGAさん

この徳一さんは、作者の分身ないしは化身なんでしょうか。私は、京極夏彦なる作家を知りませんし、その人の作品読んだこともありません。徳一さんは72歳にして、半ば「恍惚の人」化しているようです。愚にも付かないような考え事をして、身体も使わず、結局ボケーっと時間を過ごすのでしょ。勿体無い。せめて散歩でもしてゴミを拾ったり、美人をつけたりすれば、少しは世間が楽しくなるのにねえ。
shuttle
2011/04/28 17:19
> 72歳になる独居老人
ずいぶん若いなあ。それで恍惚かあ。
あわぞう
2011/04/29 09:05
こんにちは。
その本について初めて知り、作者も名前以外はほとんど知りませんが、案外若い人ですね。その本の感想文や書評はネット上に割りと多く、当たる当たらずに関わらず内容が幾らか知られるようです。ただ、やはり本文を読んでいませんので次は的外れかもしれませんが。もし外れでないなら、ネタばらしになるので恐縮ですが、勝手な思い込みでもありましょう。
独身の単身生活という事が一つのキモかもしれません。毎日一人でグルグル考えている、一見暗い毎日だが、幼時から住んでいる土地ゆえまわりの人からよく話しかけられる、特に電器屋との関わり。次に近所の小母さんから暇人と見込まれ、ある事(子の監視の様な事)を頼まれる。小説としてはちょっとした山場なのでしょう。その事の結末はともかくとして、単身でありながら、この後、人とのなんらかの繋がりが生じそうな予感を読者に感じさせつつ小説は終わる。
以上、勝手な空想でした。読みたくなる小説かもしれませんね。しかし、読まぬが花よ...
ニキ
2011/04/29 10:52
shuttleさんは頭も身体もお元気ですから、歯がゆさを感じるのだと思います。日増しに痴呆が進行する叔父・叔母は既に自分が誰であるかもわかりません。周囲からは「恍惚」と思われていても、生きていることを実感できる徳一さんは幸せだと思うのです。
NAGA
2011/04/29 13:46
あわぞうさん。「72歳で恍惚」早いといえば早いのでしょうが、50代でボケ始める人もいます。40代で腰が曲がり、30代で白髪になる人も、20代で禿げる人もいますから、人生は厳しいものです。
NAGA
2011/04/29 13:50
ニキさん、こんにちは。作者の意図はわかりませんが、私は老人応援歌という感じを抱きました。平凡な日常を老人らしく生きるとすれば、こんな状態になるのだと思います。寂しくないはずはないけど、それが悲しいわけではない。淡々と生きていればいつか人との繋がりもできるはずといいたいのだと思いました。
NAGA
2011/04/29 14:00

コメントする help

ニックネーム
本 文
オジいサン そちらさま・こちらさま/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる